Orange Piは使える?壊れない?Raspberry Piと比較して思うこと

私は4年ほど前にOrange Pi 3を購入しています。このブログを始める前からずっと今まで現役で使っています。用途は色々と考えられると思うのですが、性能的に十分な用途でOrange Piしか持っていない・使っていないのかというとそういうわけでもなく、家にあるものだとRaspbery Piの方が多いです。3B+が一つ、4Bの4GBモデルが二つ、WindowsのミニPCが二つと無駄の極みとも言えます。

このように色々持っている中で、わざわざOrange Pi 3を選んだ理由は「安価」、「USBポートが多い」、「そこそこ性能が良い」といった理由で選びました。不安が無かったかというとそういうわけでもなく、買う前はかなり不安でした。元々Raspberry Piを使い慣れていたのはあるのですが、そのなかで「Linuxって難しいな」と思っていた部分もあり、環境が変わるということが一番怖ったのです。正直、半分おもちゃにするつもりで購入したので、買った当時はそれくらいしか考えておらず、他の要素、例えば耐久性なんてものは考えてもいませんでした。

しかし、よくよく考えてみると、他の類似製品があるの中でRaspberry Piを選ぶ理由というのは、「利用者が多く情報が多い」、「公式のサポートがしっかりしている」、「有名」、「企業でも利用されている」などが代表的なのではないかと思います。

他の製品にはこれらが欠けているのか、そういった点を深く考えている人や書いている人がいない気がしたので、Orange Piを通して感じたことを残しておきます。Raspberry Piの性能が向上する、逆に言えば向上しすぎている側面もあり、今後は用途に合わせてより類似製品を検討される方も増えてくるかと思うので、そういった観点からも書くつもりです。

目次

Raspberry Piと類似製品

Raspberry Piやその類似製品はSingle Board Computer (以下SBC)と呼ばれており、今では世間に広く浸透しているデバイスです。

Raspberry Pi model 3B+と4B

今では似ている製品は山ほどあります。具体例をいくつか紹介すると、

  • Orange Piシリーズ
  • Banana Piシリーズ
  • Rock 5BなどのRockシリーズ
  • VIM2などVIMシリーズ

等々、数えきれないほどの種類や使用のものが出回っています。

そしてそれぞれには何かと特徴があります。例えば、「高価・高機能」だったり、「低価格・高性能」だったりとどの製品も何かと特徴があります。ものによってはWindowsが機能するx86互換のものがあったりと、ソフトウェア面で珍しいものもあったりします。私が購入したOrange Piは全体的に「安価」という部分が他より優れていると感じます。

Orange Pi3に限って言うのであれば、当時は良い性能であったこと(Allwinner H6)、USBが豊富であったこと、GbE搭載であったことが大きいです。

そんな理由で選んでいるので、信頼性、サポート、安定性は何も購入当初は考えていました。実際に使って見てどうだったのかという話がここから先の話になります。

メリットとデメリットの大まかな比較

類似製品がRaspberry Piにインスパイアされているのは名前から一目瞭然ですね。では、オリジナルのRaspberry Piと類似製品はざっくり比較すると、どのような違いを考えておかなければならないのかを表にしてまとめてみます。

Raspberry Pi類似製品
OSLinux系Linux系、一部Windowsなど
性能△~◎
周辺機器△(純正のみが多い)
消費電力
耐久性?(製品に依存)
安定性?(製品やOSに依存)
情報の多さ
Raspberry Pi と類似製品の比較

こうやってまとめると一長一短です。SBCに性能を求めるというのも酷な話ではあるのですが、性能を重視する場合は類似製品から選ぶのが良いと思います。Raspberry Pi 5が発表されましたが、それに搭載されるSoCはBCM2712です。しかし、1年ほど前から出回っているRK3588の方が様々な処理力が圧倒的に上なので、処理力重視の場合はRaspberry Pi以外のSBCから選びたいところ。

これと関連するのが消費電力の部分で、Raspberry Piはコストの都合で、古いプロセスノードを使っているため、わっとパフォーマンスは悪いです。最新のRaspberry Pi 5でやっと16nmです。RK3588は8nmで製造されているので、単純な数字の上で言うのであれば、同じ性能でおおよそ1/4の消費電力になります。

ここまではRaspberry Piの悪いところでしたが、良いところを紹介しましょう。まず、周辺機器や情報が圧倒的に多いです。困ったらネットの海を探せば必ず答えが見つかるレベルです。逆に、他のSBCではユーザーが少ないというのもありますし、名前が似ているせいで検索にひっかかりにくいというのもあって情報はかなり少ない場合が殆どです。アクセサリも純正のものがあるくらいでサードパーティ製のものが無いことも多いです。

また、安定性や耐久性については製品によってまちまちだと思います。Raspberry Piは他方で利用されており、耐久性に関してもしっかり対策をしていれば問題なく稼働できます。他のSBCは使って見ないとわからない、ものによってはクオリティにばらつきがあることもあるでしょう。なので、あまり安定性や耐久性重視の用途では使わない方が良いと思います。私は耐久性や安定性が必要な部分に組み込んでいるので少し今でも不安です。

OSのサポートについて

OS基本はLinuxベースのものでしょう。Raspberry Piに限らずどのSBCメーカーも必ずOSを提供していると思います。

Raspberry PiではRaspberry Pi OS(Debianベース)が純正として提供されています。かつては32bitと64bitでOSのサポートが割れていた過去がありますが、今はどちらも選択できて安定しています。しかし、今でも64bit環境だと動作しないものがあったりするので、その場合は、32bitを使わないといけないということもあるかもしません。

他のSBCメーカーはそのSBCに合ったOSを逐一作っているところが多いので、大半は64bitのOSがデフォルトです。かつてRaspberry Pi側が32bitしかなかった時代は設定方法や必要なライブラリが違ったりと面倒な点も多々見受けられましたが、こちらも同様に最近は改善されつつあるように感じます。

公式にサポートされる以外のOSも他のサイトから利用できる場合があります。例えばRaspberry Piはdebianベースということで、Ubuntuが対応版をリリースしていたりします。他のSBCではArmbianという形で、UbuntuやDebainベースのものが公開されていたりします。しかし、Armbianはサポートも充実していますが、公式ではなくあくまで有志の方によるOSなので、不安定な部分や機能を省いている部分があります。

Orange Pi 3に限って言うと、販売開始直後にはArmbianが無かったので純正OSを使いましたが、カーネルバージョンが古く、使い勝手が悪かったです。それ以外にもArmbianが出てからは、Allwinner H6のPCIeコントローラがよくわからない実装がされているようで、OS側では対処できないため無効化されています。あとは純正OSでは電源ランプが起動に合わせて赤⇒緑になったのに、Armbianではずっと赤のままというような違いもありました。

ずっと赤いままのOrangepi Pi3

あくまで上の話はOrange Piに限った話なので、他のSBCではこれよりマシか酷いかは予想がつきませんが、やはり公式のサポートが手厚いRaspberry Piは偉大だと思わされる場面が多いなという印象があります。

SoCの種類について

基本的にRaspberry PiはARM系で、他のSBCもほとんどがARM系で一部がx64対応だったりします。

アーキテクチャについては正直大半がARMなのでその前提で書いていきますが、そのなかでも処理力は上述したようにかなり違います。

基本はARMとはいえ、Raspberry Piは結構実装が他のものより特殊な場合があり、他のSBCからみると少し苦労する場面があったりします。とはいえ、ここは情報の多さでカバーできることも多く、少し困ることがあるけど何とかなる範囲です。

Allwinner H6

他のSBCは製品名こそ違うものの、CPU部分は大体ARMなのもあり、大体同じような使い方ができます。しかし、GPU部分関しては製品によって違う部分がかなりあるためGPU部分を使おうと思うと苦労します。Orange Pi3に限らずAllwinnerのCPUは大体GPU側のサポートがダメなため、基本的GPUを使って何か処理するのは難しいです。例えばVideo for Linux(V4L)は基本的に使えない、使うのに古いカーネルを組み込む必要があるなど苦労する、苦労しても使えないなんてことがあったりします。その点、Rapberry Piは少し実装が変わっていてもGPUをしっかりと使えるというのは間違いなく大きな差です。

例えば、監視カメラのシステムを作ろうと思った場合に、Rspberry PiならGPUアクセラレーションを用いて圧縮して送ったりできて、他のSBCではGPUがうまく機能しないため、CPUでエンコードして送るなんてことにもなりえます。

CPUだけ使う、その性能を重視する場合は類似製品で困らないと思いますが、GPUを使うとなると一気に話が変わるのがSoCの違いです。なので、もしGPUを使った処理を考える場合は、事前に調べて情報を探すことをお勧めします。

安定性と耐久性

安定性はOSで大分変ってくるものではありますが、Rasspberry Piに関しては純正OSを使う限りはとても安定しています。

逆に他のSBCは純正でもイマイチ安定していない場合があります。高負荷になるとサーマルスロットリングで動作周波数を下げると思いますが、そこら辺がうまくできておらず結局熱暴走して落ちるというのはよくあるパターンだと思います。

ボードの耐久性もものによると思いますが、Raspberry Piに対抗しているような製品だと悪くはないと考えています。現に、私の使っているOrange Pi 3は購入したときは3,000円ちょっとぐらいで購入できたものですが、本体は故障することなく4年以上動いています(ほぼ起動しっぱなし)。MicroSDカードの方は一度調子が悪くなったので買い換えました。これはRaspberry Piでも同じなので気にしてはいけませんね。高耐久なMicroSDを使うことでリスクを減らせるのでおすすめです。Rasoberry Piも動かし続けているのがありますが、こちらも壊れていないので、どちらも正しく設定して使えば長く動かせるものだと思いますが、他の製品が必ずそうとは言い切れないでしょう。少なくともOrange Pi 3は悪くなかったという話です。

まとめ

Raspberry Piと他のSBCについて、私の使っているOrane Pi 3の話を交えながらまとめました。

CPUだけを重視するなら、他のSBCでもいいですが、GPUも使うとなると、Raspberry Piの方が無難だと思います。また、長時間稼働させる場合の安定性や耐久性は、OSや製品でかなり変わってくると思われるので、よく検討したほうが良いです。

また、周辺機器や情報周りもRaspberry Piが優れているので初心者の方はこちらの方が良いでしょう。そういった意味も含めると、Raspberry Piは初心者向け、他のSBCは上級者向けという位置づけになるのではないでしょうか。

実際に初めてOrange Piを触ったときは多少Raspbian(現Raspberry Pi OS)を触れる程度だったので、設定だけでも結構てこずったのを覚えています。電源ランプの色を変える話は、だいぶ使い方に慣れて相当経ってから探したくらいなので、やはり初心者におすすめとは言い難いかなというのが個人の感想です。

冒険をしてみたい、より良い性能が欲しい、いい感じのおもちゃが欲しいなんて人にはおすすめかなと思います。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

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