個人ブログなので、好きなことを好きなだけ書いていますが、久しぶりに自転車屋務めらしく自転車の話題でも書いておきます。
みなさんは日常生活で自転車をのりますか?私はありとあらゆる移動が自転車なぐらい自転車が好きですし、日常の足としても運動の道具としても活用しています。
そんな自転車ですが、スポーツタイプから所謂ママチャリタイプまで色々ありますよね。そのなかでも、珍しいトラブルのお話です。
なんでこんな記事を書こうかと思ったかといいますと、Googleのおすすめ記事としてこんな記事が出てきたからです。
DAHON K3の割れたリム、保証は適用されませんでした【文句じゃないよ】
https://blog.cbnanashi.net/2022/05/19477
DAHON K3っていうのは折り畳みで14インチの超小径自転車です。そのリムが割れてしまったーなんていう記事です。
リムってなんぞ?っていう方はあまりいないと思うのですが、簡単に紹介すると自転車の車輪の外周のこの部品ですね。
簡単に言えば車輪(ホイール)が割れてしまったという話なのですが、現実的にこれが割れるなんてあるのでしょうか?結論を書くのであれば普通に使っていても割れます。何十年も乗ってきたけどそんなことない!っていう方もいると思いますが、事実として割れます。
この記事を書くきっかけになった記事の方を読むとなぜリムが割れてしまったのかイマイチわかっていないように感じました。
なので、なぜリムが割れるのかと、その割れ方、普通の使い方でリムが割れるのか、リムを割らないための対策についてお話します。
自転車屋に勤務時の経験が含まれる内容になりますので、一部当てはまらないケースや場合もあるかと思いますが悪しからず。守秘義務のため業務上のみ知りえた内容(お客様の破損したリムの写真等)は紹介しておりません。お客様に案内する範囲でのお話です。
目次
リムの割れ方
まずはリムが割れると言っても種類がおおまかに分けて2種類存在していますので、その話から。
割れ方の一つ目は外周のブレーキをかける部分が割れるケースです。DAHON K3の方のような割れ方ですね。場合によってはリムの溶接面で縦に亀裂が入って割れるケースも観たことがあります。
もう一つが、ニップルというリムを引っ張る力や、外的な力がその部分にかかってしまった場合です。
多くの場合はこのニップルの穴の周辺に亀裂が入ったりします。こちらの方が体感的にはレアケースです。
なぜリムが割れる?
どちらのパターンにせよ、割れるということはリムが何かしらの力に耐えきれなくなって割れています。
今までは割れることなく乗れていたでしょうから耐えられなくなった原因があるはずです。その紹介になります。
順番は前後しますが、ニップル穴近辺が割れるケースの原因からお話します。
これは、殆どの場合ニップルの回しすぎでスポークが引っ張られすぎて破損するか、高い段差を飛び降りたか、その両方等の原因が考えられます。
ニップルの回しすぎは手組ホイールをされる方が大半で、お店のメンテナンスの範囲だとあまりないかと思います。
高い段差を飛び降りたなんて書きましたが簡単に言うと乗り方が悪いです。スピードを落とさなかったり力を抜かず段差を乗り降りしていると起こります。言い方は悪いですが、一般の方でニップルの穴近辺が割れる場合は乗り方を改めないと同じ事が再発する可能性があります。それくらい一般的には少ないリムの割れ方です。
そんなひどい乗り方してないけど同じような割れ方をしたという人もいるかと思いますが、長く乗っていれば同様のことが起こりえます。金属のクリップを何度も曲げていると金属が折れますよね。あれと同じでたくさん使っていると徐々に金属の力がかかる部分が痛みます。10年程度で乗り方次第ではこの割れ方をする可能性があると個人的には考えていますので、それくらい乗られたのであればリムの寿命だったと思っていただくのが良いでしょう。
ここで話はもう一つの割れ方の、リムの外周に沿って割れる場合です。簡単に結論を書くと、空気の入れすぎかブレーキの使いすぎです。
基本的に外周に沿って割れる場合は、タイヤの空気が外に出ていこうとする力に対して、リムが負けています。リムはブレーキをかけると、少しずつですが消耗していきます(リムブレーキの場合でディスクブレーキやローラーブレーキ等は無関係)。
それが積み重なり、リムが痩せてしまうと、タイヤの力にリムが勝てなくなり割れてしまいます。空気圧を高くしすぎると、タイヤの押し出す力が強くなるのでそれが原因になるということもあります。
ちなみに、所謂ママチャリタイプの自転車は前がリムブレーキで後ろはバンドブレーキかローラーブレーキというハブブレーキで後ろ側はリムを消耗しない場合は多いです。
普通の使い方でリムは割れる?
結論から申し上げますと…
はい、割れます。
普通に割れます。割れない保証なんてどこにもありません。
いままで割れたことなんてなかった!と言いたい方もいると思うのですが、最後まで読んでください。何かしら思いあたる節はあるはずです。
リムの外周に沿って割れた、ブレーキ面が割れた場合の話から。私の経験で言うならお客様で割って持ってこられるのは大半の場合、いわゆる小径の子乗せ電動の場合が大半なイメージです。次点で普通の小径車、稀に26インチなど普通の大きさの車輪という感じです。
まあそれくらいリムが割れて持ってくるお客様はいらっしゃいます。なので、割れることはおかしなことではありません。
ちなみに、一般的な自転車屋に比べてもリムが割れるお客様は圧倒的に多いと思います。その理由は、上述した通り、リムが割れるのはブレーキをいっぱい使うからで、勤務先は坂道地区にあるためです。坂道が多ければ必然で気にブレーキを多く使うので、リムが割れやすくなります。片方ばかり使うとそちらに負担がいくので、それも原因になります。
小径車が多く、大きな車輪が少ない理由は勘のいい方や数字に強い方はお分かりいただけると思います。中学生かなんかのころに円周の長さを求める式やりましたね。以下の式です。
(円周の長さ)=2×(半径)×(円周率)
この式の意味はわからなくても大丈夫で、直感的にわかりますよね、車輪が小さかったら円の周りの長さが小さいと。具体的な長さで言うと、14インチと27インチの車輪で外周の差は2倍以上あります。それだけ消耗が早く進むということです。
一番多いのが子乗せ小径電動ですが、理由は簡単です。総重量が重かったら思いっきりブレーキかけてやっと止まりますよね。それだけリムにもたくさん力をかけて止めているので消耗が早くなります。たったそれだけなのです。スピードを出していても同じように減りは早くなります。
ちなみに、どれくらいのスパンで割れるかですが、酷使していると小径車であれば1年半もたたないうちに割れたりすることがあります。
それ以外に雨の日はリムが削れやすいというのもあります。
DAHON K3の方は1年ちょっととかのレベルみたいですが、たくさん乗っていたのであれば普通にあり得る話だったりします。
ニップル周辺が割れる方については色々ありすぎて細かくは書けませんが、段差をなるべく飛び降りたり乗り越えたりしない、するならスピードを落として乗れば早々割れることは無いかと思います。ニップルの締めすぎは新品でも壊れるのでなんともって感じです。
一度、簡単にまとめてみましょう。割れやすい条件や使い方はこんな感じです。
- 総重量が重い
- 坂道が多い
- ブレーキをいっぱい使う
- 片方のブレーキばかり使う
- 車輪が小さい
- 雨の日も乗る
- 乱暴に乗らない
今まで割れたことないよ!って方も何かしらは当てはまるのではないしょうか。何か変化があったからこその変化が大半です。これ以外で考えられそうなのはリムの素材の違いですが、ここまで話すと長くなりそうなので割愛。
リムを割らないための対策
ブレーキのかけすぎや扱い方でリムが割れるというのは理解していただけたかと思います。
ではリムを割らないためにはブレーキをなるべく掛けなけれな良いのか?という無理なお話になります。
それは絶対に安全性から考えても難しい話なので。それ以外の対策の話をします。
対策は簡単で、左右両方のブレーキを使ってください。
一般に、自転車のブレーキは前の方が効きやすいため、多くの方が前側のブレーキ(一般的には右側のレバー)を使ってしまいがちです。意識的に後ろ側のブレーキを使うようにするだけでもリムの消耗を抑えられます。
ニップル周りが割れる人は乱暴に乗らないことです。
リムは消耗部品なので、どれだけ大切に乗っていても割れるときは割れます。仕方のないことです。
余談ですが、街乗り自転車にスポーツタイプで車輪の大きなものに乗っていますが、結構リムは削れて痩せてきました。7年ほど大切に乗っていますが、距離も年数も乗っていればそれだけい痛みます。しかも坂道地区ですしね。そろそろ車輪交換だなーなんてそんなことをを思いながらこの記事を書いています。
保証ってきくの?
原則効かないと思っていただいたら良いかと思います。ここまで書いてきた通り、リム自体は消耗品に部類されるので割れたら消耗部品を交換するようなものです。
当然ながら初期不良で割れていたとかであれば保証は効くと思ってもらっていいと思います。ここら辺はメーカー様の判断次第ですがね。
後はこの手のトラブルを見ている側的に言うと、相手の言っていることと整合性があるかぐらいはある程度判断が付きます。
例えば今まで全然使ってなかったのに割れたんだけど!って持ち込まれる場合もあるのですが、本当かどうかは見る人がみればわかります。
なので保証を効かせたいからと言って嘘を言ったりすると、自転車屋さん的にも困りますし、保証は下りないしで誰も得しないので正直に状況を話すのが吉です。
まとめ
あまり自転車のリムが割れることについての記事というのは見なったので、経験と共に原因とその対策をまとめてみました。
画像が少ないので文字ベースの記事になってしまいましたが、これで少しでも疑問が解決できれば筆者としては嬉しい限りです。
以上です。お読みいただきありがとうございました。