以前にT230Cを買ってトラモジを受信してみたという記事を書きました。これですね。この中でCATV用ブースターを使ったという話が書いてあります。
T230Cは平たく言えばCATV用のチャンネルを受信するチューナーのため、T230Cで利得が足りなくて映らない、安定しないといった場合はCATV用のブースターを使う必要があります。
そして、市販ではBS/CS用のブースターは多いですが、CATV用のブースターは少ないので、選択肢はあまりありません。また、BS/CS用と兼用になる場合が多いためか、基本的に値段が張ってしまうものが多いのも事実。
しかし、今回レビューするDXアンテナの「TCF30S」は安価(実売価格5,000円強)でCATV/BS/CS用のブースターという製品になっているのでそれをレビューしておきます。
私が買ったのは以下のページからAmazonで買ったのですがこのページが不親切で、商品名には型番が書いていません。下の方にスクロールすると「商品型番」のところに「TCF30S」という型版が書いています。
T230Cでどのブースターを使ったのか教えて欲しいという声にお応えして書いた記事なので、基本的にはDTV用のブースターという観点で書かせてもらいますが、基本的な使い方自体はどんな環境でも変わらないので問題ないかと思います。
私の目的はCATVの信号を増幅することなので、BS/CS領域に関しては解説及び評価の対象外とさせていただきます。とはいえ、CATVの方がいじる項目が多いので、BS/CSに関してはCATVの方法よりも簡単なので、わからないということは無いと思います。
ではレビューしていきます。
目次
DXアンテナ「TCF30S」について
ここでは仕様などを解説しておきます。
まずAmazonのページはこちらです。そして、このページを見てもらうとわかるのですが、商品名が「DXアンテナ CS/BS・CATV下りブースター(30dB形)(卓上用)[2K・4K・8K対応]」となっています。
商品名にあるようにCATV/BS/CSに対応したブースターです。そして、書いてある通りではありますが、4K・8K放送にも対応した最新規格まで使える(つまり左旋円偏波対応)のブースターとなっています。
具体的に規格をこのページ残しておくと以下のようになっています。規格の表記は公式ページより引用しています。
使用帯域 | CATV下り | CS/BS-IF |
---|---|---|
周波数帯域(MHz) | 70~770 | 1032~3224 |
標準入力レベル範囲(dBμV) | 65(80※1) | 70(80※1) |
利得(dB) | 25~30 | 19~25/24~30(1032/3224MHz値) |
定格出力レベル※3(dBμV) | 95(74波+デジタル)※2 | 95/100(1032/3224MHz値 50波) |
入力ATT(dB) | 0~-15以上(連続可変) | 0~-10以上(連続可変) |
入力EQ(dB) | 0、-6/-10(スイッチ切換)※3 | ― |
※2 デジタルは―10dB運用
※3 770MHz基準 70MHz値
公式サイト(https://dxantenna-product.dga.jp/detail.html?category=&page=1&id=2242)より引用
規格は読める人はわかると思いますが、CATVの帯域を基本的にカバーしています。
また、ここに書いていないことだとACアダプターなどを使わずコンセントにさすだけで煩わしい配線が無いのは良いと思います。
本当にCATVは770MHzまでなんですか?という方もいると思いますが、以下の画像をご覧ください。
この画像は、実際にT230Cを用いて得た信号をグラフにしたものになっています。つまり、CATV領域がどうなっているのかを調べた画像ですね。
この画像の真ん中のスパイクのように飛び上がっている部分が755MHzで、その左側(周波数が低くなる側)がCATVの放送領域であるため770MHzというのは実際に正しいですし間違いはありません。
また、私の用途ではBS/CS放送へのブースターとしては使わないため、確認などはしていまっせんが、本来はこの画像のもっと右側にBS/CSの放送領域が存在します。
後は仕様を見ての通りですが、基本的にはCATV/BS/CSの最新の規格を抑えているのでこれを買えば町がないというタイプの製品であることがわかっていただけるかと思います。
余談ですが、この製品の説明書を見た感じ、本来は市販することを想定した製品ではなさそうです。というのも、説明書に以下のような一文があります。
使用時。異常が生じた場合はただちに電源プラグを抜き、ご加入のケーブルテレビ局に連絡してください。
TCF30Sの説明書より引用
おそらく一般向けに販売するようなものではないのでしょう。とはいえ、製品に説明書は付けないといけないから付けている、そんな感じです。業者御用達ということなら問題はなさそうだなというのが私の印象です。
外観&内容物
私は、上述のようにAmazonで買ったのですが、びっくりするぐらい簡易梱包でやってきました。
段ボールには入っていましたが、以下の内容物がビニール袋の中に入っている程度の状態です。本当に業者向けに本来は売っているんだろうなと感じる製品です。
内容物はこの二つでした。そしてこれがただビニール袋にそのまま入っていました、なので、梱包はあまり期待しない方が良いかなと思います。
本体の裏側にフタがついています。それを上側に移動させると調整するツマミが現れます。調整を終えたらフタを締めれば見た目はスマートにできます。こういう配慮は嬉しいですね。
見ての通りですが、CATV用にはEQスイッチという入力波が傾斜している場合に使うことで出力を一定にできる機能があります。詳しいことは知りませんが、CATV局的には傾斜しているのはメリットがあるのでしょう。
また、フタには入力端子と出力端子の位置がわかりやすく書いているので接続にも困らないでしょう。
あとは実際に電源を入れて配線をしてみるとこんな感じになります。
オン/オフのスイッチがないので、コンセントに繋ぐだけで電源が入り勝手に給電されます。正直、普段は常時電源を入れているので気にする必要はないとは思います。また、電源が入っていると青いランプが常時点灯します。個人的にはケーブルに大きなACアダプターがついていたりスイッチがついていないというのは扱いやすさ的に嬉しいと思えます。
スタンドのような自立する足がついているのですが、本体は軽く、それでいて同軸ケーブルが普通は固いのでケーブルの力がかかって自立して机の上に置くみたいなのは難しいです。卓上用とはいうものの簡単には自立してくれません。固定の仕方も結束バンドを通したり壁に掛けたりできるようにもなっているので、固定する場合そういう方法でやるのがおすすめですね。
実際に使ってみる
とはいえ電源を入れて信号レベルを調整するだけです。普通は専用の計測器を用いて利得などの調整を行います。
私はT230Cで信号レベルを見ることができるのでこれを参考にしました。実際に一番下から一番強くなるまでまでつまみを回しました。すると以下のように変化しました。
15dBmが続いているのはチャンネルがロックできておらずそれが続いている状態なので無視してもらって大丈夫です。
-15dbmから-27dmbまで、C/N比では33.75まで利得を向上させることができました。BER(Bit Error Rate)値も0なので、信号品質的にも問題はなさそうです。
次にEQスイッチを使って傾斜している状態が良いのかを確認したところ、私の環境では-6dBで良い感じになりました。ここら辺は手探りで決めました。
結果として、ロックできなかったチャンネルでロックができるようになり、視聴ができるようになったのでしっかり増幅ができていることを確認できました。
まとめ
安価に購入でき、CATV/BS/CSなら増幅を行えるDXアンテナ「TCF30S」をレビューしました。
実際に使ってみたところなんら問題なく使えたので価格的にも機能的にも文句なしです。
正直設定することも少ないのでこれと言って機能が不足しているわけでもないので、文句のつけようがないというのが本音です。
強いて言うなら、電源のON/OFFスイッチを付けたり、電源LEDも消す設定や隠すことができたらよかったと思いました。わざわざひねり出さないと悪い点が出てこないような良い製品です。
用途としては家庭内かつ個室でCATVブースタ―を用いる場合に使うべきブースターなので、家庭内の他の部屋などに繋ぐ大元の配線に使うようなブースターではないというのだけには気を付けたいですね。
以上です。お読みいただきありがとうございました。