以前にBeelink U59を購入したレビューを書きました。PCを選ぶ上で、大半の方がCPU性能を重視されると思うので、CPU性能に関する記事を別に書くことにしました。
所詮は個人の範囲なので「Cinebench R23」と「FF XIVベンチ」と「DQ X」の定番ベンチを回した結果と類似製品との比較を残しておきます。半分くらいは自分への覚書みたいなところはあります。
最初から余談なのですが、CPUベンチって、よくわからない比較サイトが一番上にくるようになって結構腹が立ちませんか?私は自分自身がスペック知りたいときにそんなサイト見てもいまいち信用できないから苦手です。話を元に戻しましょう。
一応、目次だけつけておくので好きなところをお読みください。
また、Jasper LakeについてはCeleron N4500のレビュー記事に掲載しているので気になる方はそちらをご覧ください。その記事では色々な説明を長々と書いています。この記事ではJaspler Lakeの製品群の一部が比較として登場します。
目次
Celeron N5095のスペック
Celeron N4500のベンチ記事での紹介として、TDPが6Wと10Wの製品群について紹介したのですが、実はそこに含まれていない製品が存在しており、それが今回のCeleron N5095です。
実はこの製品のみがJasper Lakeの中で唯一15WのTDPを持つ製品になります。
基本の確認として、その製品スペックを以下に示します。
項目 | Celeron N5095 |
コア/スレッド数 | 4/4 |
CPUベース/ブーストクロック | 2.0/2.9GHz |
GPU実行ユニット数(EU数) | 16 |
GPUベース/ブーストクロック | 450/750MHz |
CPU世代 | Tremont |
GPU世代 | Gen 11th |
TDP | 6W |
キャッシュ | L3 4MB |
メモリ | DDR4-2933 LPDDR4X-2933 |
最大チャンネル数 | 2 |
PCIEx | 3.0x8 |
製造プロセス | Intel 10nm |
このようになっています。
変わった位置付けの製品
唯一の15WTDPということで、スペックをよく見れば見るほど変わった製品でもあります。
例えば、クロックを見ると、10W TDPのPentium N6005は2.0/3.3GHzなので、N5095よりも高いです。また、GPUのEU数もN6005は32基と2倍のユニットを搭載しています。
また、10W TDPのCeleron N5105と比較するとクロック数こそ同じものの、EU数が24基と1.5倍のユニットを搭載しています。
このように、スペック上では劣るCeleron N5095のメリットとは何なのか。
これはデータが少ないので確実性は無いのですが、CPUがブーストクロックで長時間動けるかというのに関係していると考えられます。
Pentiun N6005に対してスペック上でも劣るN5095はベンチマークでも実際に敗北を期している場合が多いです。ですが、長時間ベンチマークを回すと結果は変わると考えています。
というのも、N4500のベンチ記事の公判で紹介しているのですが、TDPの制限にかかって、GPUとCPUを同時に限界の周波数で動かすことができないことがわかっています。
また、これは2コアの場合の話なので、単純に動作するコアが増えればCPUだけでも10W以上の電力を平気で使う計算になります。
つまり、10WのTDPではJasper LakeのCPUの全力を常に出すのには難しいと考えられます。
しかし、TDPという表記を否定するIntelお得意のインチキモードのPL(Power limit)の設定が存在するので、特定の時間(一部製品では無制限ですが…)TDP制限を超えて動作することが可能です。これが上手いこと機能するベンチマークなどでは10W TDPの製品群でも高いスコアを出せることがあると考えられます。
なので、長時間ベンチマークを行うと結果が変わるのではないかと考えました。
ちなみに、Beelink U59のCeleron N5095もPL1が15W、PL2が36Wと設定されており、15WTDPでも少し無理している場面があることが示唆されています。
なので、15W TDPとすることでJaspler LakeのCPU性能を最大に引き出すためのCPUがCeleron N5095という立ち位置だと考えられます。
生産面では、GPU部分の一部がダメなダイを再利用できるというのも理由かもしれませんね。
ベンチマーク結果
Cinebench R23の結果を以下に示します。一般にCinebenchはCPUの単純な演算性能の比較に用います。
マルチ「2191」、シングル「623」となっています。他のCPUとスコアを並べてみます。
CPU | TDP | スコア (Cinebench R23) |
Intel Celeron N5095 | 15W | マルチ:2191 シングル:623 |
AMD Athlon 3000G | 35W | マルチ:2163 シングル:877 |
Intel Celeron N4500 | 6W | マルチ:1002 シングル:575 |
Atom X5 Z8350 | 2W | マルチ:398 シングル:166 |
Intel Celeron N4100 | 6W | マルチ:1045 シングル:384 |
Intel Celeron J4115 | 10W | マルチ:1100 シングル:318 |
いくつか比較になりそうなCPUを選び表にまとめました。その結果、Celeron N5095がいかに同様のCPUと比較すると高性能かがわかっていただけると思います。Gemini Lake (Refresh)を寄せ付けない性能を見せています。
個人的に特筆したいのは、Athlon 3000Gと比較してマルチのスコアが勝っている点です。Zen+のCPUに対して、省電力コアのTremontアーキテクチャがスコア的に買っているというのは驚くべき点です。
感動しました。省電力コアも、たった数年でここまでできるようになるものなのですね。
次にFF XIVのベンチ結果を示します。標準品質(ノートPC)で解像度は1920 x 1080です。
このようになりました。かなり近い値だったのが、Celeron N4500のベンチマーク結果です。
この結果を見る限り、GPUが貧弱すぎてCPUの性能がそこまで大きく影響を及ぼしていないことがわかります。Celeron N5095のCPU性能は良くなったとはいえ、GPUに関してはJasper Lakeの中でも最も少ないEU数しかないため、ゲームできるほどのものではありません。とはいえ、動画再生に関しては、再生支援があるので全く問題ありません。
次にDQ Xのスコアを示します。
このスコアはなぜかCeleron N4500と逆転していました。
バックグラウンドで何か動いていたとかは無いと思うのですが、なぜかスコアがひっくり返っています。スコアの違いに現れそうな違いだと、N5095はWindows 11で、N4500はWindows 10の環境だったのでこういうのも関係あるかもしれません。
上記の結果を通じて言えるのは、ゲームに関してはCeleron N4500と比較して五十歩百歩なのでゲーム等、グラフィカルな処理には全く向かないCPUだということです。
CPUの性能を最大限に生かさんとするCPUスペックを考えても、Celeron N5095はサーバー等、CPU負荷が高い処理を任せると良いでしょう。
まとめ
Celeron N5095はAthlon 3000Gをも超える性能をCPU性能では発揮する場合もあることがわかりました。それほどJaspler Lakeのポテンシャルは高いため、CPUのパワーに期待するのであれば非常におすすめです。
ただし、各ベンチマークの結果で見た通り、GPUに関しては周りと比較すると十分強力ではあるものの、CPUの性能ほど期待できるものではありませんでした。日常使いで困ることは殆どないとは思います。
そのため、Celeron N5095をお勧めする用途としてはCPU性能がものをいうサーバー用途でしょうか。CPUをフルに生かせる使い方だと幸せになれるCPUだと感じました。
N5095搭載でイチオシPCは間違いなくBeelink U59です。回し者かっていうぐらい絶賛してますが、それくらい満足度の高い買い物でした。興味がある方はよろしければレビュー記事もどうぞ。
以上です。お読みいただきありがとうございました。