以前私はアウトランクを購入したレビューを書きました。比較的一般受け(?)を狙って書いた記事です。というか話の流れ的に書いておきたかっただけという感じですかね。ですが、私の目的はそのまま乗ることにあらず、魔改造をするのが目的だったりします。前回のレビュー記事は以下です。
ちなみにこの記事や前の記事を書いているのは、同僚や上司などリアルの人達やコメント欄等あらゆるところで書くのを催促されているので頑張って書いている側面もあったりします。そんなアウトランクの魔改造に興味あると思わないんですが…
さて、魔改造って何するのかという話なのですが、最初に一番重くて面白いネタでもやろうかと思いまして、車輪を組んだ話を書いておきます。逆に後半ほど簡単でただの軽量化なつまらない記事になる気はします。
ちなみに、変速を付けたいと思った理由は単純で、快適に乗りたい、スピード調節をできるようにしたいという単純な理由です。
しかし、小径車の車輪を組んだことがある方ならご存じだと思いますが、普通の車輪を組むのに比べて段違いに難易度が高いです。普通に組むのに時間がかかります。正しくは、スポークを通すのが難しく、仮組までが面倒なだけなのですが、基本的には普通のサイズ感の車輪なんかに比べたら色々な勝手が違います。
しかも、今回は小径以外にも、内装ハブということでフランジ径が大きいので、スポークの角度が純正よりもきつくなります。正直やる前から不安しかないのですが、できないことは無いだろうということで実行に移すことにしたわけです。
念のためですが、規格的な話や計画途中に考えていたことも少しだけ残しておきます。
それ以外にも、分解途中で得た、重量などの情報も残しておきます。
そんなアウトランクの後輪組の過程をただ書き残して作業の感想と書くという謎の記事です。文字も結構多いので読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。
また、リアエンドを広げるみたいな危険を伴う改造ではありませんが、魔改造に部類されることなので、やられる際は自己責任で。掲載内容についても一切当サイトは責任を負いませんので、その点をご留意願います。
目次
アウトランクのリア周り
当然ながらアウトランクの後輪を組むという話なのですから変速を付けられるか以外にも軽量化を狙うという意味で車輪を組み替えるかもしれません。確認は必須です。
アウトランクのリア周りについては以下のような感じです。
項目 | 規格 |
リアエンド幅 | 124mm(?) |
元からついているハブのO.L.D. | 120mm ※これにチェーン引きを付ける |
エンド形状 | 正爪 |
その他 | 上部にダボ穴あり |
行ってしまえばいわゆる変速なしママチャリと同じ構成です。つまりママチャリに施せる改造ならいけそうな感じはします。
ただ、後述しますが、気を付けたいのはブレーキ周りで、これは気を付けておかないと耐久性に悪影響を及ぼす可能性があります。
アウトランクはVブレーキで一般車の後輪にはローラーブレーキやバンドブレーキが使われるので一番気を付けておきたいところです。
さて、この規格に変速を付けたいと思ったときに何を考えたかという話が次の項です。
変速をつけるなら内装一択
さて、変速を付けようと思ったとき考えなけばならないのが、変速を外装にするか内装にするかというところから始まりますが、今回のケースの場合は基本的に内装変速一択です。
というのも、リアエンド寸法がO.L.D.120mm用という時点で基本的にはシングルスピードのハブか内装式のハブしか付かないからです。
ママチャリなんかだとフレームが鉄で強引にリアエンドを広げて130mmとかのハブを入れたりなんかもできますが、アウトランクはアルミフレームなので曲げて強引に入れるというのが強度的に問題ありだからです。怖いっていうのが一番で、できないことは無い気もしますが…
それ以外にもリアエンドの形状的に外装式のディレイラーをつけるのは困難というのもあります。仮に取り付けられるとしても、そもそもディレイラーもケージの長さを気を付けないと地面にあたる可能性もありますしね。
リアエンドが85mmとかのDAHON系のフレームにはそんなエンドにも外装変速をつけるためのヤバい部品が販売されていたりします。ですが、特定の車種向け(BYA412)だったりまあ中々リスキーな製品だと思います。つけられないわけではないのですが、無理しすぎという感じです。
余談ですが、変速つけるならK3とかULTRA LIGHT Tripleでも買えばいいのではと思われるかも知れませんが、ここはロマンと規格と価格でアウトランクを選んでいるので、野暮なツッコミはなしです。あと外装3段は耐久性とか補修部品はどうなっているのか?とかカスタマイズ性ってどうなの?という側面もあったりします。
それ以外にも、アウトランクで輪行もできたら良いなと思うのですが、輪行で気軽に持ち運びできるというのも大きな内装変速のメリットです。外装だと、ディレイラーが曲がらないようにとか色々気を付けないといけませんからね。
ハブを選定
内装ハブという時点で相当選択肢が限られてくるのですが、作っているメーカーで海外通販とか駆使すれば手に入りそうなのは以下のメーカーあたりですかね。
- シマノ
- SRAM
- JOYTECH
- Sturmey-Archer
私が知る比較的手の届きやすい価格で買えるのは上記4社。それ以外にもkindernayやRohloffみたいなメーカもありますが、ハブの値段でアウトランクが5台買える値段みたいなものばかりなのでここら辺は外します。
規格が合う合わないはありますが取りあえずメーカー的にはここらへんです。
とはいえ基本的に内装ハブは耐久性以外はメリットが少ないのでラインナップもそうですし、メーカー的にも選択肢は少ないです。そしてシマノ以外はとても入手性悪いです。国内だとSTURMEY ARCHERが少し手に入りやすいかなという程度。価格的にもギリギリ手が届くぐらいのものです。
JOYTECHなんて存在はしますが海外ですらほとんど見ませんし、SRAMは下手したら今は作っていないのかもしれません。昔はあったんですがね。Aliexpressなんかでは廃盤になったAutomatixなどを見かけたので流通在庫のみレベルの物になってきているのでしょうか。
最終的に価格を考慮するとやはり残るのはシマノです。
ですが、シマノで選べるハブは実質一択で、内装3段用のハブになります。内装3段っていうと、電動自転車やママチャリについている3段変速のものがこれですね。
内装3段には基本的には3種類存在していますが、アウトランクに合う規格のは以下の2種類です。
- SG-3R40
- SG-3R42
この2種類がO.L.D.120mmになっております。この2つの違いは寸法の違いと、蝶穴か丸穴かの違いなので機能的には全く一緒です。好きな方を使ったら良いと思います。
ただ、入手性というのがどちらも微妙なところで、一応シマノによると、どちらもアウトランクのリアリムの穴数に対応する28Hの設定があるという表記なのですが、シマノから取り寄せるSG3R-40にはないんですよね。ですが、作られていないわけではなく、PAS CITY-Cなどを見るとわかるのですが、現行の小径電動自転車には割と28HのSG-3R40というのは使われています。
なので、SG-3R40/42のハブを入手するにはどうしたらよいのか、となると思うのですが、いくつかの方法があります。
- 電動などの補修部品からハブを購入
- 完組車輪を解体して入手する
このどちらかです。前者はお値段が高いことが多いのです。私が調べたときはCITY-Cの補修部品で12,000円ぐらいでした。正直内装ハブだけにしては高いなという印象です。普通のSG-3R40自体は7,000円前後ですからね。
容易に購入できる、36H等のハブを使う場合は変則組みをしないといけないのに加え、小径車輪なので組み上げるのも大変かつ、スポークを用意するのも大変なので、余程自信がある人でないとおすすめはしにくいですね。
なので、おすすめは完組車輪を解体して入手するという方が結構安く入手できるのでお勧めです。汎用車輪の補修部品としてよく使うのはアサヒサイクルのXB220でこれが28HのSG-3R42がついていたと思います。補修部品なので3R40か3R42かはうろ覚えですが、とりあえず使える内装変速28Hハブというのが入手できます。
これはAmazonのページですが、大体1万円ぐらいですね。スポークのカットを考えるともっと本数があったほうが良いのですが、スポーク、ニップル、ハブが入手できて10,000円程度なので結構コスパは良さげです。
それ以外に内装ハブには軸長という概念がありますが、今回の場合やシングルスピードを多段化する場合は大体181.8mmという長さで大丈夫です。191.8mmというのもありますが、こちらは基本的にはベルト車に取り付ける場合が殆どです。軸長は右ロックナットからベルクランクまでの距離で決めるものになっています。上記で紹介してXB220という車輪も181.8mmの軸長になっています。
私は電動の補修部品などで使うSG-3R40の28Hを入手できたのでそちらを使います。
ブレーキ周りのお話
少し気を付けたいのがブレーキ周りのことです。というのも、SG-3R40というのは本来ローラーブレーキを使う前提で設計されているので、寸法などもそれありきで設計しているので、ローラーブレーキなしでは厚みが違い、そのまま使うということができません。
ここにも残しておきますが、以下のページで取り上げた内容と同じです。
それ以外に、ローラーブレーキの取り付け面には軸のベアリングが露出している部分があり、ここが外に直接見えていると、直接塵や水が入り込んで故障を招くので、絶対にこのまま運用してはいけません。以下の写真がローラーブレーキの取付面の写真です。
写真だとわからないんですが、キャップ・玉押しの下にベアリングがあります。隙間からベアリング球が見えます。
なので、Vブレーキの車体にこのハブを取り付けるには、使いもしないローラーブレーキを付けるか、カバーを付けるかしないといけないんですね。
なので、必ず防水キャップを用意する必要がありますが、SG-3R40にはそういう仕様が存在しないので、他のVブレーキ仕様がある内装ハブの補修部品として、左防水キャップユニットを取り寄せる必要があります。
というわけで私は適当に用意しました。SG-5R35とかSG-8R20あたりで私は探しましたが、C6000のハブでも、なんでも良いです。ローラーブレーキの規格は決まっているので、キャップの樹脂のサイズが違うとかなので加工で何とかなる範囲です。気にならなければ加工しなくても良いと思います。私はSG-8R20用に用意されている部品が安価だったのでそちらを用意しました。
代替品のリンクを張っておきます。私のとは別なのでポン付けできるとは言い切れませんが、プラスチックの製品なので、微妙に合わなくても簡単に加工できます。
実際に今回組んだ車輪に取り付けた写真がこんな感じです。
微妙にサイズがあっていないような感じになりますが、スポークを通すのに影響があるわけでもないですし、極端にサイズが違うわけでもないので、今回はこのままいくことにしました。
あとはハブに合わせて必要なものを買いましょう。以下のものが必要です。SG-3R40とSG-3R42なら同じです。他のハブだとカセットジョイントタイプかもしれません。
正直ママチャリを触らない人には何がなんやらだと思いますが、そういう部品が必要です。文字にリンクを貼っているので不安な人、気になる人はそこから買うと良いかもしれません。
コグは私が使ったのはHSL854という製品で、13Tの製品です。ですが、色々微調整したほうが良いかなと思ったので、シマノ製の14Tの製品をリンクで貼っています。
※実際に取り付ける際はもう少し部品が必要になります。実行編その2で取り上げています。
Amazonなんかではセット販売されているものもあったりします。もちろん、付属しているものを確認して必要なものがあれば追加で買わないといけません。以下のセットだとシフターとワイヤーですね。
ちなみにプッシュロッドには長さがあったりしますが、短い方を買えばいいです。長いのは大体ベルト用のイメージです。ハブの軸長とかにもよるので確実にそうとは言えませんが、今回紹介した車輪なら短い方で大丈夫なはず。
シフターはグリップシフトとピアノタッチレバーがありますがお好きな方を選んだら良いかと思います。私は最終的にはピアノタッチレバーを使いましたが、この記事執筆段階ではグリップシフトを使う予定だったのでグリップシフトで話を進めていきます。ピアノタッチレバーに変えた理由は面白そうな取付ができそうという、くだらない理由です。
標準装備品と重量計測の備忘録
解体してホイール周りの重量を測定しました。解体してしまった後に気が付いたのですが、ホイール丸々のデータも取っておけばよかったなと後悔しています。
始めに、リムとハブとスポークとニップルの重量を以下の画像で示します。
それぞれこんな感じでした。測定し忘れた合計の重量を求めておきます。
項目 | 重量[g] |
リム | 188 |
スポーク | 79 |
ハブ | 403 |
ニップル | 28 |
合計 | 698 |
ちなみに、スポークは14番、ニップルも14番用のものが使われていました。組みつけられていたホイールの組み方はイタリアンの4本組です。
組み方について気になる人は他のサイトの方が詳しく説明していると思うのでそちらを見ていただければ。このページではわかっている前提として組み方などしか掲載しません。
次にアウトランクについていたタイヤ・チューブ・リムテープの重量を示します。
表にまとめておきます。
項目 | 重量[g] |
タイヤ | 444 |
チューブ | 105 |
リムテープ | 9 |
ホイール | 698 |
合計 | 1256 |
後輪周りは合計で1256g。やっぱりミニベロだと車輪は軽いですね。少しタイヤは重い気がするのですが、タイヤ自体に選択肢が少ないのでもしかしたら大幅な軽量化は難しいかもしれません。乗り心地を犠牲にして細くすればできないことは無いとは思います。
最後にそれ以外の部分のナットとチェーン引きとスタンド、スポークリフレクターの重量を残しておきます。
ここら辺はあんまり変更などをしないかもしれませんがせっかくなので残しておきます。画像が見れないときのために一応表にもしておきます。
項目 | 重量 |
ナット | 25 |
チェーン引き | 23 |
スタンド | 110 |
スポークリフレクター | 18 |
こうなっていました。
後はおまけですが、取り外したハイガードチェーンの重量は以下のようになっていました。
チェーンの重量は長さを変えればそれだけ変わりますし、そんなに極端に軽くなったりもしないので備忘録ということで残しておきます。
スポーク長を計算
次にスポーク長を計算します。私はシマノのサイト参考にハブ寸法を調べて計算しました。私の計算に使った値はこんな感じです。
項目 | データ |
PCD右 | 74mm |
PCD左 | 74mm |
右フランジ・センター間 | 26.75 |
左フランジ・センター間 | 26.75 |
スポーク穴径 | 2.5mm |
組み方 | 4本組 |
データはこんな感じです。フランジ・センター間の寸法については海外のサイトを見ると、24.75mmとかもあったのですが、測定方法がどうも真ん中を測定すると24.75で、フランジの厚さを考えると26.75mmということになりそうなので、私は26.75mmを採用して計算に使います。この程度なら殆ど長さは変わらないでしょう。
組み方が4本組なのは元のホイールがそうだったからで特に理由はありません。ちなみにイタリアンで組みます。
また、ERD(有効リム径)の測定は安リムなので多少の個体差はあるかもしれませんが行いました。
測定の結果私の個体だとリム径自体は234mmでした。色々念のために書いておきましたが、そうそうリム半径が個体によって違うことは思います。ニップルの分を考慮するとERDが238mmぐらいで計算するのが正解でしょうかね。
以上のデータをスポーク電卓なり、自分の計算式に入れると、100.6mm程度という計算結果が得られました。このリムは見ての通りシングルウォールリムなので、ニップルからスポークが絶対にはみ出してはいけないので、100mmでスポークを切ってみます。とはいえ、手動で切るので割と数ミリは普通に狂います。切るのに専用工具使っているわけでもないので、これが精度の差を生んでしまいます。ですが、結論から言うならこの長さは間違っていました。他に考慮することがあったのですが、それが足りていませんでした。
というわけでハブも用意して、スポーク長を計算したので、実際に作ってみるだけです。やってみましょう。
実際に組んでみる
実際に組んでいきます。工具は必要なホイール組工具一式です。わからないって方は調べましょう。スポークは上述の通り100mmで用意しました。
まずはスポークは用意しないと始まらないので、実際に自分でカットしてねじを切って準備します。実際にカットしてねじ山を作るのは非常に大変でした。特にねじ山の転造は非常にコツが必要で苦戦したので別の記事でまとめています。
もし自分でスポークを用意する場合は、スポークダイスを用意するなりしないといけませんが、これは15,000円前後の値段なので、今後も使う人が購入するぐらいが良いかと思います。
数多くの失敗をしてなんとか28本切りました。そして出来上がったスポークねじの出来栄えはこんな感じです。
右が元から切られていたねじ、左が転造で新しく作ったスポークですが、文句ない出来のものが出来上がりました。
さて、これを使って実際に組んでいきます。
そうそう、仮組の前には前に説明した左防水キャップユニットは付けておきましょう。これがある前提でハブは設計されているからです。
ホイール組は慣れればできる作業ではありますが、小径車のホイールは非常に仮組からてこずります。
理由は簡単で、スポークの長さが短いので、スポークに角度が付きすぎるため非常に硬く感じてやりにくいのです。普通ならテキパキ組める車輪が仮組に1時間以上…慣れないことをするのは難しいです。ここにコツも何もないです。色々動かしながらなんとなく仮止めのニップルを止めていく感じです。
スポークにニップルを少し引っ掛けている程度なのに、左フランジとリムが平行の状態になっています。さらにここから右側を組み付けていく感じになるのでとても苦労しました、仮組の段階からスポークは相当曲がります。小径車だし仕方ないのは理解していましたが、ここまで曲がる?と感じるぐらいです。そしてなんとか仮組が終わった段階の写真がこちら。
普通の26インチや700cの車輪だとスポークが遊んでいるのですが、仮組の段階でスポークは思いっきり曲がるし、遊んでもないのが仮組の難しさを物語っています。組み方は上の方でも書いていますが、イタリアン4本組です。
そして普段から気を付けたいですが、特に意識的に気を付けたいのはバルブの位置です。車輪の大きな自転車だとバルブの位置をスポークの間の中で広いところに必ずしも持ってこなくても大丈夫(見た目が不格好なだけ)なのですが、この大きさになるとそうもいきません。間違えると空気入れができないような狭さになっていしまいます。しかも、仮組が非常に手間のかかる作業なので、間違えると地獄。間違えないように気を付けましょう。
そして仮組ができたら後はテンションをかけて振れを取っていくのですが、今度は縦フレをとるのが面倒です。決まったスポーク長さなら、最初はねじ山を見えなくなるくらいにして~みたいなコツがあったりするのですが、自分で切ったスポークなのでばらつきが大きく、その手法で楽にテンションを合わせられないので、経験に従ってコツコツと縦フレを取っていきます。
これから振れ取りを行うわけですが、これが色んな意味でやりにくいです。私はParkToolのTS-2.2を使って振れ取りを行ったのですが、これが最小で16インチまでしか対応していないので、クリップなどを使って工夫して振れ取りを行います。同様の理由でセンターケージも使えません。センター出しはホイールをひっくり返して振れ取りの基準からの位置が均等になるようにしてセンターを出すという方法を使います。
縦フレを取ったら、次は横触れを取ってセンターを出して、さらに全体的な振れ取りをしたら終わりです。ニップルは回しにくいのですが、それを除けば思ったより振れ取りはしやすかったです。細かい感覚でスポークがあるので微調整がしやすいと言ったらわかりやすいでしょうか。横フレ、縦フレともに0.5mm以内に収めることができました。
最後の最後で気づいたのですが、今回は小径の車輪ということもあり、スポークのテンションも感覚でやっているわけですが、私が適正だと思った程度にテンションをかけると、スポークの長さが短かったことが判明しました。ニップルの頭までスポークが出ず、場所によっては相当奥にスポークの先端がある状態で、あまり良くない状態です。仮組の段階で気づければよかったのですが、気づけませんでした。正直仮組の段階で角度があるせいで結構きつく感じるのもあり、気づけなかったんですよね。
計算式は間違っていなかったのですが、なぜこのようなことが起きてしまったかというと、小径にスポークに角度が付きすぎることが関係していました。角度が付きすぎるために、スポークがハブのフランジに接触して曲がるような形になっているので、スポークが真っ直ぐにならず、これが原因で長さが足りなくなっていたようです。
組み上げた結論から言うと、同じハブを使うならスポーク長は104か103mmで丁度良いのではないかと思います。というか組み直す機会があれば次は104mmで作ります。おそらくこれで仮組も多少しやすくなりますし、ニップルの頭までスポークが通るのではないでしょうか。とりあえず今回はこれで乗ってみます。全然ニップルにスポークが入っていませんが…ニップルが折れたりしたら、やはり長さ不足ということで組み直さないといけません。
もしSG-3R42を使う場合でも、計算よりも2~3mmぐらい長い方がいいかもしれません。これは実際にやってみないとわかりませんがね。
後は、今回私が使った部品のせいではあるんですが、今回使ったコグのHSL854がシマノ製と違い皿状になっていないせいで、右防水キャップとチェーンが干渉するような形になりました。
この写真の防水キャップの干渉する部分を削ることでHSL854を問題なく使用できるようになりました。これ以上小さいと違うところと干渉しそうなので、SG-3R40に取り付けられるコグは加工を含めて13Tが最小、シマノ純正なら14Tが最小となりそうですね。
削ることによってキャップとコグの間に隙間が生まれるので問題なく使えるようになります。組み付けについては別記事で書く予定ですが、ひとまずチェーンを張ると、削った後でこんな感じにできます。
写真でもわかりにくいかと思うのですが、しっかり防止キャップとチェーンの間に隙間があり、問題なく取り付けが可能です。使ってるチェーンは厚歯です。
車輪組自体は、私がこのサイズのを組んだことがなかったので4時間ぐらいかけて組みました。スポークカットもてこずって7時間ぐらいかけていたのでとても時間を費やしています。
それくらい、小径車の車輪組を1からするというのは時間がかかる大変な作業です。なので、やりがいがあると言えばそうなのですが、正直なところ結構しんどかったです。楽しかったんですけどね。
まあ何はともあれ、組みあがったので今回はこれくらいして、試走はまた今度です。なんせクランクも交換するので、そちらの取付も終わらないと自転車として走れませんからね。
完成した車輪や取付部品の重量
とりあえず組みあがった車輪の重量を量ります。本当は組み立てる前にスポークの重量を量っておけばよかったのですが、色々苦戦して測定するのを失念。なんとなくニップルだけ測っていましたが、28個で29gとほぼ1個1gです。
それ以外にハブのSG-3R40の重量も計っています。ですが、今回使っていたハブはメンテナンスや、内装ユニットの交換を行っているので、写真の計測時とは条件が違うため重量も異なります。参考程度です。
876gと中々重量級ではあります。とはいえ、元のハブがコグ付きで403gであったことを考えると、+500g程度で変速が付けられるなら個人的には全然ありだと思っています。それ以外にシートポストなんかは大きく軽量化できる箇所になると思うので、十分帳消しにできる重量です。後は、少しだけスポークが短くなっているので、多少スポークの重量だけは軽くなっています。
さて、これらをくみ上げた後輪の重量は以下のようになりました。
次に、取り付ける予定のSturmey-Archer製のコグHSL854です。13Tの内装ハブに取り付けられるスプロケットです。こちらの重量は以下のようになっています。
おそらく削る加工をせずに取り付けられるコグの中では最小の大きさです。シマノ製のコグだと最小は14Tで、値段も半額以下かつ入手性も良いので、ギア比をとことんこだわりたい私みたいな人でなければそちらの方が良いかもしれません。ですが、こちらのコグは皿状になっておらず、シマノのコグは皿状になっているため、取り付け時にチェーンラインに数ミリ差が出るかと思います。ここら辺はどうなるかは試していないので自己責任でお願いします。
続いてはこのコグのロックリングとして使うCリング(角型)です。以下のようになっています。
3gでした。私的には気にする重量ではありませんでした。
最後に最初の方で説明した、ローラーブレーキの厚みを埋める左防水キャップユニットです。使ったのはSG-8R20用のものです。固定用ナットも込みです。
27gです。グリスが大量に付いているのは元からこんな感じだったのでこの写真の状態で測定しています。これでホイールに取り付ける部品が揃いました。
ひとまずホイールと左防水キャップユニットなしでの重量を示します。
次に一応、キャップユニットを付けたときの重量をします。
この時点で1193gです。やはり内装ハブは重いですね。この状態から、コグを取り付けるだけの形になるので、この状態から重量を足して計算するのが今後は重量計算で使いやすいですかね。不要だと思いますが、+25gなので私の場合のHSL854を取り付けた重量は1218gでした。
いったん条件を揃えたので、ホイールだけの総重量の比較をしてみます。
項目 | 重量[g] |
純正車輪 | 698 |
内装3段車輪 | 1218 |
差 | +520 |
やはり変速を取り付ける代償は非常に大きいです。ホイールだけで+520gです。さらにここから変速用部品が追加されるので、もっと重量は増します。快適性と引き換えとは言え、ここまで増えると少し気が引けます。まあ、これからこれを打ち消すだけの軽量化をすれば良いだけですね(脳筋)
さらに取り付ける必要があるのは、シフター、ベルクランク、カバー、プッシュロッドですね。順番に重量を示します。
画像が見れない環境のために、表にまとめます。
項目 | 重量[g] |
シフター | 95 |
ベルクランク | 67 |
カバー | 12 |
プッシュロッド | 5 |
段付きナットと回り止めワッシャー | 16 |
合計 | 195 |
何が増えてどれだけ重量が増えたというのは大切だと思うのですが、そこまで細かく管理するつもりはないので、部品の重量を見てこれぐらい増えたんだなくらいに現状では思っておきます。
あと、シフトワイヤーはルーティングでも変わると思うので今回は無視してます。100gぐらいプラスでみておくぐらいで良いのではないでしょうか。
段付きナットと回り止めワッシャーが必要な理由がわからない方もいるかと思うので簡単に紹介しておきます。ベルクランクを取り付けるときに4mm段付きナットを使用するのですが、もし使用しないとこんな感じになっていしまいます。
ベルクランクがべったりフレームについてしまっていてこれだけでも気持ち悪いのですが、この取付方法だとフレームが5.5mm以上ないと正常に動作しないのですが、この厚みがギリギリ5.5mmあるかどうかなので、こういう怪しい時は必ず段付きナットを入れないと、正常にプッシュロッドを押せなくなる場合があります。なので、私は気持ち悪いというのが一番の理由ですが、ひとまず入れておきます。
段付きワッシャーを入れることでこのように浮かせることができます。
この辺の組付けの細かい話は別のページで書くことにします。この記事が思ったより長くなってしまったためです。
とりあえず改造がひと段落したら、アウトランク全体の重量を量ってみようと思っています。
まとめ
長くなりましたが、なんとか車輪を組めました。スポークもねじ切り工具の限界に近いギリギリの短さのため、ある意味本当にギリギリの車輪組で難易度は非常に高いです。しかも、仮組の段階でスポークの角度がきついので、テンションもわかりにくく、非常に経験値の必要な作業だと感じました。
正直、紹介こそしましたが、素人の人がこれをやるのは難しい、苦戦すると思います。比較的慣れた私でもこれだけ時間をかけましたからね。
かといって、これをお店にお願いするのもなかなか難しいと思います。スポークのねじも切ってあとは組み立てるだけをお店にお願いするぐらいなら引き受けてくれる自転車屋もあるかもしれません。ですが、スポークまで切ってもらうのは難しい場合が多いと思います。
もし作業を請け負ってくれる自転車屋があったのならしっかり感謝しましょう。このレベルの改造をするのは、それだけの自転車屋的にリスクや責任はありますし、時間もかかるというのを忘れないようにしてください。
最後に念押しみたいなことを書きましたが、それくらい時間も手間もかかる作業で改造としてのリスクも伴うので、もしこれを見て実践される際は十分計画を練って自己責任でお願いします。
以上です。お読みいただきありがとうございました。次の記事はこの魔改造車輪の組付けの話になります。
1件のコメント