省電力かつ小型なPCが欲しいので最近はミニPCばかりを買い漁っていますが、最近性能が上がったと噂のBeelink MINI S12を購入しました。Intel Processor N95を搭載しています。今回はこれのお話です。ちなみに、MINI S12 ProはIntel Processor N100を搭載しています。
以前はCeleron N5095搭載のデバイスを購入し、満足だったのでそれよりもさらに性能が良くなっているということで性能にも期待がかかります。せっかく購入したので簡単にですが、ベンチやスペックを含めつつレビューを残しておきます。結果を書いておくと想像以上に高性能で驚きました。これが3万円前後で買えるならかなりお買い得感があるというのが正直なところです。
前世代で同グレードのN5095については以下の記事をご覧ください。
それではレビューをしていきます。
目次
Alder Lake-NとJasper Lake
Alder Lake-NはJasper Lakeの後継モデルとも言える製品です。どちらともAtom系をルーツに持つ製品群です。Alder Lake-NはGracemontアーキテクチャを、Jasper LakeはToremontアーキテクチャを採用しているため、アーキテクチャ的には別物となっています。どちらのアーキテクチャもハイブリッド設計での省電力コアに相当する部分ですが、Gracemontはデスクトップ版のAlder Lake に搭載されるEコアと同じアーキテクチャであるため、デスクトップ版Coreシリーズと同様の拡張命令セットに対応します。これはAtom系のプロセッサーの中では大きな変化でしょう。
前世代Jasper Lakeと比較すると、基本的に性能アップの方向になります。ただし一つだけ退化している部分があり、それがメモリチャンネル数。最大で2チャンネルから1チャンネル対応に変化しています。なぜこうなったかは不明ですが、十分と判断されたのでしょうか。
性能アップとなっているので大きいものは以下の3点。
- クロックアップによるシングル性能向上
- クロックアップによるGPU性能の向上
- デスクトップ版Coreに準じた拡張命令対応
製造プロセスがIntel 7となりましたが、前世代のIntel 10nmと本質的にはあまり変わっていないため、大きく省電力化されたというわけではありませんが、GPU、CPUともにクロックアップで性能があがっています。しかし、大きくは省電力化されていないということで、TDPの制限が先に来てしまうはずなので、CPUを全力で使った場合の総合的なスコア自体は大きく変化しない可能性が高いです。Intelの発表では電圧の調整を細かくできるようにして効率をアップさせたということで、フルロード時はあまりが差が無いことをほのめかしているように感じます。
Alder lake-Nの製品群
Alder Lake-Nにはこのような製品群が存在します。
名前 | コア数 | クロック [GHz] | キャッシュ | TDP (W) |
インテル® Core™ i3-N305 | 8 | 3.80 | 6 MB Intel® Smart Cache | 15 |
インテル® Core™ i3-N300 | 8 | 3.80 | 6 MB Intel® Smart Cache | 7 |
インテル® プロセッサー N100 | 4 | 3.40 | 6 MB Intel® Smart Cache | 6 |
インテル® プロセッサー N200 | 4 | 3.70 | 6 MB Intel® Smart Cache | 6 |
インテル® プロセッサー N95 | 4 | 3.40 | 6MB | 15 |
インテル® プロセッサー N50 | 2 | 3.40 | 6 MB | 6 |
インテル® プロセッサー N97 | 4 | 3.60 | 6 MB Intel® Smart Cache | 12 |
Intel Atom® x7213E | 2 | 3.20 | 6 MB | 10 |
Intel Atom® x7211E | 2 | 3.20 | 6 MB | 6 |
Intel Atom® x7425E | 4 | 3.40 | 6 MB | 12 |
このようになっていますが、Alder Lake-Nの中では一番消費電力の高い15Wの製品となっています。他の製品との違いだとSmart Cacheかの違いがあるようです。
Smart Cacheはそれぞれのコアに独立したキャッシュがあるのではなく、全てのコアで共通のキャッシュにアクセスできる仕組みのことであり、高速化が見込まれます。どのようなタイミングで差が出るかは不明ですが、この部分で多少差があるのかと思うと残念な気持ちになります。
また、Core i3 N305とはコア数もクロックも負けているので、同じ15Wでも大きく差がありそうですが、現在は実機が出回っていないようなので、実力は未知数ですね。というか、Atom系統の製品についにCoreの名前が付いた製品がでてきましたね…それだけEコアに自信があるということなのでしょう。
N95のスペック
上の表でも簡単には紹介していますが、今一度N95のスペックを見てみます。
コア数 | 4 |
スレッド数 | 4 |
ブーストクロック | 3.40GHz |
キャッシュ | 6MB |
TDP | 15W |
最大メモリサイズ | 16GB |
メモリチャンネル数 | 1 |
GPU | Intel Core UHDグラフィックス |
GPUブーストクロック | 1.20GHz |
このようになっています。CPUのクロックは前世代よりも大きく上がっています。また、GPUに関しても大きくクロックアップしています。Atom系のオンボードGPUで1GHz超えのスピードとは高性能化が進んだなと実感しますね。
ベンチマーク
ベンチマークは以下を使いました。
- CINEBENCH R23
- ドラゴンクエストX ベンチマーク
- FINAL FANTASY XIV 暁月のフィナーレベンチマーク
Cinebench R23は以下のようになりました。N5095はマルチ「2191」シングル「623」でした。
ドラゴンクエストXベンチマークは以下です。設定はFullHD・低品質・フルスクリーンです。N5095のスコアは「2539」でした。
FINAL FANTASY XIV 暁月のフィナーレベンチマークを行いました。設定は、標準品質(ノートPC)・FullHDです。N5095でのスコアは「1242」でした。
ゲーム系はスコアはかなり厳しいものがありますが、前世代からはかなりスコアが向上していることがわかります。GPUのクロックアップが効いているのがよくわかりますね。
CPU部分に限って言うのであれば、マルチ性能は数パーセントしか向上していませんが、シングル性能に関しては30%以上大幅に向上していることがわかります。
まとめ
概ね予想通りの結果となりましたが、シングルスレッドやGPUの性能の伸びは目を見張るものがあります。GPUに至っては1.5倍程度のクロックなので当然ではあるのですが、やはり数字で見るとかなり良くなったなと感じます。
個人的にはCPU性能がもっと伸びたら嬉しかったですが、オフィス系のソフトでグラフィカルなものであっても問題なく処理できる力があると感じたので、ゲームはせず、ネットサーフィンや動画鑑賞、文書作成程度であれば全く問題はないです。これを搭載したPCがAmazonで3万円以下で買えることを考えると良い性能をしていると思います。
本体のレビューもしているので合わせて良ければ見ていってください。
これほどの製品がこの値段で買えるなんてとても良い時代になったと感じますね。