日本語配列のキーボードが欲しいという話を以前に書きました。その際に部品の選定などの話は一切していなかったのですが、スイッチの話は長くなりそうだったので、この記事単体で書くことにしました。
始めにお断りしておきますが、私自身は自作キーボード初心者なので、スイッチの細かい評価はできません。擦れ音がどうとかファクトリールブがどうかとか。本当に簡単な評価しかできませんので悪しからず。
なので、内容的には私と同様に初心者の方が、スイッチを検討する際に選択肢を増やすという意味でお役に立てたら良いと考えています。
では紹介していきます。
目次
大雑把なスイッチの括り
大雑把なスイッチの括りについて記述します。
ただし、ここで書くのは私なりの括りなので、一般には別の括りがあるのかもしれません。
ですが、実際に私のような初心者が感じる範囲で、この括りがわかりやすいと思ったのでそれでまとめてみます。スイッチは○○軸と呼ばれることが多いですが、今回は英語圏での分け方をベースに紹介します。
一つ目はクリッキー系です。
これは押した際のカチッと感があるスイッチです。一般的に大きめの音がするスイッチです。また、スイッチを押すのに必要な力は以降で紹介するスイッチも含めて重い傾向があります。現在私が既製品で使っているスイッチだったりします。
ゲームなどでは、どこでスイッチされているかわかりやすいため使い勝手が良かったりします。
なぜか市販品だと価格が安い場合が多いですが、スイッチだけ買う場合は他のスイッチと値段が変わらないのが実情だったりします。カチッと感が好きであればおすすめですが、音の大きさは覚悟が必要です。
次にリニア系です。
こちらはリニアスイッチと呼ばれるタイプで、先ほどのクリッキーと違い、途中でクリック感がなく底までボタンが落ちます。俗に言うスコスコ感があるスイッチになります。また、押し心地は他のスイッチに比べて軽い傾向があります。
こちらのスイッチは、単体で見るとカチッという音もないので静かに感じますが、実際のタイピングでは思ったよりも跳ね返りの音などがあるので、実際にはそこまで静かじゃなかったりします。とはいえ、他の種類に比べると、最も静かです。
万人に受けるスイッチだと思います。私が最終的に一番気に入ったのはこのリニアタイプの軸の一種でした。
最後はタクタイル系です。
タクタイルはカチッとという音はしないのですが、途中でコクッというような引っ掛かりがあるタイプです。こちらも万人受けするタイプです。
しかし、スイッチだけ触ると音が静かそうに感じますが、実際にキーキャップをはめて使ってみると底打ち音や跳ね返りの音で、思った以上に音がします。静音性を期待できるスイッチの種類ではないです。ただし、クリッキーよりは静かです。
用意したスイッチ
21種類のスイッチを用意しました。友人にタクタイルが好きな人がいるので、その人からいくつかスイッチを頂いたので、タクタイルのスイッチが少しだけ多めです。
基本的にはOUTEMUという安価な中国のスイッチメーカの物を用意しました。どの軸が自分に合っているのかを検討するのに、コストも抑えられるので、適していると考えたからです。
それ以外に譲ってもらったGATERONやkailhのスイッチを用意しました。
羅列するとこんな感じです。空白は上の枠のメーカ・タイプと同じです。
メーカー | 名称 | タイプ |
OUTEMU | Blue | クリッキー |
Green | ||
Gold | ||
Ocean | ||
Red | リニア | |
Black | ||
Silver | ||
Clear | ||
Dust proof Silver | ||
Silent White | サイレントリニア | |
Silent Peach | ||
Silent Ocean | ||
Brown | タクタイル | |
Purple | ||
Orange | ||
Panda | ||
Silent Gray | サイレントタクタイル | |
Silent Lemon | ||
Kailh | Box Brown | タクタイル |
(ラベンダー) | ||
Box White | クリッキー | |
GAETRON | Brown | タクタイル |
サイレントとかついているのは内部で静音構造を実現しており、静音性の高いスイッチを指します。
今回は個人輸入で海外からOUTEMUのを用意しましたが、日本国内でも、AmazonでGATERONとKailhのテスト用スイッチが1,000円ぐらいで販売されているので、スイッチ探しにはおすすめです。最初からキーボード専門店で買うのも気が引けますしね。リンクも置いておきます。
これだけ用意すれば何かしら気に入ったスイッチが見つかるだろうということで今から順番に押し心地を見ていきます。実際に触ってみると同じ種類でも微妙に違いがあるので私がわかる範囲で残しておきます。
先に書いておくと、私が求めるスイッチの条件は長時間のタイピングでも疲れないことです。今使っているOUTEMUのBlueは押し心地が重いためかなり疲れるためです。
クリッキー系
Blueは王道を行くクリッキースタイルです。
少し形は違いますが、今私が使っているキーボードと同じスイッチなので鳴れた感じの触り心地でした。OUTEMUならではですが、CHERRYと比べると押し心地が重く感じます。
Greenは少し複雑なスイッチだと感じました。
Greenスイッチは半分リニアの黒軸と同じような性質を持っています。音の大きさはBlueと変わりませんが、押し込んでいくとそれに従って押す力を大きくする必要があります。
跳ね返りは良いスイッチですが、長時間文字のタイピングに使うとBlueよりも疲れるでしょう。短時間使う分には気持ち良いと思いますが、タイピングには向かないことがわかりました。
Goldスイッチは何も知らされていなければBlueとの違いを見つけるのは少し苦労します。自作キーボード初心者の方だと気にしなくても良いレベルかもしれません。
基本的にはBlueと同じような押し心地、音なのですが、決定的にことなるのがカチッとして反応する(アクチュエーションポイントのおこと)タイミングです。Blueよりも反応が早いのが特徴となっています。コンマ数秒を争うゲームなどに向いた軸だと思います。押し心地はBlueとあまり変わらないので、タイピングには向かないということで今回はパスです。
OUTEMU最後は、最新のクリッキーのOceanです。
こちらはスイッチ自体が少しカラフルになっておしゃれになっていますが、Blueと比較して、音が大きくなっているクリッキースイッチです。今まで以上にしっかりした音を求める方におすすめです。押し心地はBlueよりも少しだけ軽いです。
特筆事項としては、OUTEMUの最新の軸はファクトリールブと言って、工場から出荷される段階で内部のバネに油がさしてあり動きがよく、バネの響く音がしにくくなる処理がされています。
最後はKailhのBox Whiteです。
OUTEMUのスイッチに比べて音は少しだけ静かで、押し心地は他のクリッキーよりも軽いです。体感的にはCHERRYと同じくらいな感じがします。少しだけ軽いと言っても相対的な話なので、他のリニア系と比べると重いので今回の目的には合わなそうです。
もし、別のキーボードを自作する際にクリッキーが良いとなったら一番選ぶ可能性が高いスイッチです。
リニア系
リニア系の最初は王道のRedからです。
まさに王道という感じで、スコスコ感と程よい押し心地の軽さです。押し込んだときに気持ちよく沈んでいってくれます。万人受けするキーというのも納得の感じです。
次はBlackです。
BlackはRedと比較すると、奥に押し込むほど反発が強く(より力が必要)なります。そのため、Redではストンと底まで押せてたのに対して、こちらは少し強く押さないと底まで行かない感じですね。底まで押そうとするとBlue以上に力が必要だと感じました。
次はSileverです。
SileverはRedと基本的に押し心地は似ているのですが、スイッチの反応する位置(アクチュエーションポイント)が違います。こちらの方が浅い位置で反応してくれるので、コンマ数秒で戦うゲーマー向けと言われるタイプです。ですが、アクチュエーションポイントが浅いので、撫でるようにタイプする方にもお勧めできます。音は赤軸とあまり変わりません。少しカチャつく感じがしないでもないような、そんな感じです。
次はDust proof Silverです。
この軸は名前通り、防塵スイッチと呼ばれるタイプのSilverスイッチです。Silverという点は変わらないので押し心地や性質は基本的にSilverと同じです。
こちらはOUTEMUの最新のスイッチになるので、ファクトリールブが入っています。多少はSilverよりはバネが響く音がましな気がしないでもないです。
次はClearです。
Redをそのまま透明にしたよなスイッチです。押し心地はそのままですが、少しだけ跳ね返ってきた感じが違うように感じます。透明なのできれいなRGB照明を使いたいときは一番効果を発揮するでしょう。
また、これはOUTEMUの最新のスイッチなのでファクトリールブがされています。Redと比較すると気持ちバネの響く音が小さくなった気がしますが、思いっきりキーをたたくと響く感じはあるので気のせいレベルな気はします。動きはこちらの方が少し良い気がします。
ここからはリニア系の中でも静音性に特化したサイレント軸の紹介です。まずは、Silent Whiteです。
他のスイッチと違い、内部にシリコンが配置されているため、押し込んだときに底打ち音が小さく、感触が柔らかいです。押し心地はRedと同じですが、戻ってくるときの感覚が少し物足りないような感じがします。何とも言葉では表しにくい感覚ですが、赤軸がただ静かになっただけかと思うと少し違う感じがするので、実際に触ってみて欲しいなと感じました。
次はSilent Peachです。
こちらはSilent Whiteと同じような特性を持つスイッチですが、大きく異なるのは押すのに必要な力がどれよりも小さいことです。疲れにくさと静音性を重点に置いているので、このスイッチを私は最終的に選びました。
最初はRedをそのまま静かにした感じを想像していたため、反発感や底打ち感の違いが気持ち悪かったので、実際に使うのであれば実際にテストするのをおすすめします。
最後は突然追加されていたSilent Oceanスイッチです。
これはデザイン的はOceanと全く同じなのですが、押し心地がSilet Whiteと一緒です。製品詳細にもSilent Whiteと同じと書いてあったので間違いないです。ただSilent WhiteをBoxスイッチにしたかっただけでしょうか。
タクタイル系
まずはオーソドックスなBrownから。
BrownはRedよりは少しだけ重めの感じです。これと言って大きな特徴は無いと感じました。
次にPurpleです。
PurpleはBrownと押す力自体は一緒ですが、タクタイル独特の途中で引っかかる感じがBrownに比べると軽いです。少しだけタクタイルみたいな感じです。タクタイルのコクッと感が好きな方にはすすめにくい気がします。
次はOrangeです。
OrangeはBrownと比較して押し心地が重めで、かつコクッといくときがBrownよりもはっきりしています。押し込むほど重くなっていくので、Blackをタクタイルにした感じです。
次はOUTEMUの最新のスイッチのPandaです。
PandaスイッチはBrownスイッチと押した重さ自体は変わらないのですが、指を離したときの反発感が強く感じます。戻りが良いと表現するのが良いのでしょうか。その分戻ったときにケースに当たる音が大きく、静音性はタクタイルの中でも一番期待できないと感じました。ですが、反発感の良さは癖になるものがあり、次に静音性を気にしないで押し心地の良いスイッチだけで選ぶなら、これを選びたいくらいです。
ちなみに最新のスイッチなのでファクトリールブがされています。反発感が強いのもありバネの音は聞こえます。もし、ルブがされていなかったらもっと響く感じがするのかもしれません。
次はSilent Grayスイッチです。
これはBrownをベースとしてシリコンクッションを内部に追加して静音性を付与したモデルとのこと。また、アクチュエーションポイントが少し早くなっているみたいです。押し心地はBrownと同じような重さですが、底打ち感がふにゃっとしているの少し気持ち悪く感じます。慣れの問題ですが、サイレント軸は少し思っていたのと違うなという印象です。
OUTEMU製スイッチの中では最後の紹介となるSilent Lemonスイッチです。
こちらはSilent Grayをベースにさらに浅いアクチュエーションポイントとなり、さらに押し込む量が少し短くなっています。また、戻りがSilet Grayよりも早いです。押し心地はあまり変わりません。移動量が変わっているので他のスイッチと比べると少し押し込めない感じがしますが、比べてみても変わった感じはあまりしません。
これは最新のスイッチなのでファクトリールブがされています。ルブが施されているサイレント軸のスイッチはかなりバネの音が小さく非常に高評価です。静音タクタイルが欲しければお勧めのスイッチです。
ここからは友人から譲られた他社のスイッチの紹介で、最初はGATERONのBrownです。
OUTEMUのBrownと比較すると静かで押し心地も軽く感じます。コクッとする感じも少な目。動きもこちらの方がなめらかな気がします。
次はKailhのBox Brownです。
OUTEMUのBrownと比べると、少しだけ軽く、少しだけコクッとする感じが小さめです。軸のブレとかそういうことはわかりませんが、戻ってきたときの音が少しだけ高く大きいです。底打ちしたときの音も少し大きく感じます。これは好みの問題でしょうか。私には良し悪しはわかりかねますね。
最後はKailhの謎のラベンダー色のスイッチです。
これはOUTEMUのBrownと比較すると押し心地が重く、戻りが良いです。平たく言えば重めのスイッチという感じでしょうか。コクッと感も強いので、タクタイル感を強く感じたい方向けかと思います。普通尾Brownでも長時間のタイプはきつそうなのでこれだともっときつそうです。
まとめ
スイッチのド素人での違いがわかるくらいの差はあります。これだけ種類があって、まだまだ世の中には多くのスイッチがあると思うと…自作キーボードが沼な意味が少しわかった気がします。
ちなみに、私は本文中でも書いていますが、OUTEMUのSilent Peachスイッチを選びました。選んだ理由は押し心地が一番軽く、一番しっくりきたリニア軸であること、そして静音性が高いことですね。
この記事を見て何を思うかは読者様次第ですが、この記事を見て気になったスイッチがあったら即決するもよし、試してみるもよしだと思います。
試すのであれば最初のほうに紹介したAmazonで販売があるテスト用スイッチはおすすめです。
個人的な意見としては、スイッチ自体は安価なものなので、これ以外にもいくつかテストキットを購入して決めるのがおすすめですよ。
以上です。お読みいただきありがとうございました。